ちきの映画日記

映画を見て、個人的に魅力的だと感じた点を拙い文章で紹介します。

キャンディマン(1992年)感想 「原題:CANDYMAN」悲劇のヒロインと悲劇のモンスター!?

今年の秋は怒濤のホラーラッシュで、魅力的な作品が数多く上映されていますが、今回は「キャンディマン」を鑑賞しに行きました。

ただ、この作品を見た後に「あ、これ一作目観なきゃいけないやつだ」と強く感じたので、アマゾンプライムでレンタルしちゃいました。

なので、今回は先に一作目の「キャンディマン(1992年)」の感想を書いていきたいと思います。

本作は大学院生のヘレンが、一部地域で都市伝説とされているキャンディマンを追っていく内に、徐々に狂気の世界に足を踏み入れてしまうという作品。

ヒロインがとにかく不憫で可哀想なのですが、最後はスカッとするスラッシュホラーでした!


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「キャンディマン」の基本情報

タイトル:「キャンディマン」

原題:「CANDYMAN」

おススメ度:★★★★★★☆☆☆☆6/10

個人的な評価:★★★★★★★☆☆☆7/10

公開年:1992年

上映時間:99分

製作国:アメリ

監督:バーナード・ローズ

脚本:バーナード・ローズ

原作:クライブ・バーカー

「キャンディマン」のキャスト

ヘレン・ライル:ヴァージニア・マドセン

 大学院生でトレヴァーと婚約中。キャンディマン伝説をテーマに論文を書くため、調査を行う。

ダニエル・ロビテイル / キャンディマン:トニー・トッド

 鏡から現れる謎の殺人鬼。生前は奴隷身分の画家であった。

トレヴァー・ライル:ザンダー・バークレー

 ヘレンの研究室の教授。ヘレンとは婚約している。

アン=マリー・マッコイ:ヴァネッサ・ウィリアムズ

 カブリーニグリーンに住んでいるシングルマザー。アンソニーという一人息子がいる。

「キャンディマン」のあらすじ

鏡の前でその名前を5回唱えると現れるという“キャンディマン”の伝説。そのことを研究していた女子大生ヘレンの前に、謎の黒人が現れるが、彼こそキャンディマンであった……。
(allcinemaより引用)

「キャンディマン」のネタバレ無し感想

都市伝説に徐々に精神を蝕まれていく恐怖。どんどん状況が悪くなる主人公が可哀想すぎた…

本作はキャンディマンという右腕がかぎ爪になっている男の都市伝説にまつわる話。

このキャンディマン、キャラクタとーして最高です。
他のホラー映画にはない独特の雰囲気があり、どこかファンタジーを感じさせます。
これは、キャンディマン役のトニー・トッドの演技力の賜物ですね。

ですが、ストーリー自体は主人公ヘレンについての物になっています。

都市伝説や事件を追い続けすぎて精神がおかしくなっていく展開って結構ありがちですが、この作品は少し系統が違います。

あまり言うとネタバレになるのでここでは言えませんが、彼女がこの事件に巻き込まれた理由については「えっ、そういう事なの!」となること間違いなしです。

そして、本作はとにかく主人公ヘレンが可哀想です。

論文を書くためにキャンディマンを追っているだけなのに、最悪の事態が起きまくります。

何も悪いことはしてないんですけどね…

ただ、それだけにラストシーンでは「ヘレン、やったれ!!」とスカッとできるものになっていると思います!

ここからはネタバレ有りの感想になります!













「キャンディマン」のネタバレ有り感想

1. とにかくヘレンが可哀想
いやぁ、もうこれに尽きます。

本当に可哀想です。
(まぁ、ふざけ半分でキャンディマンを呼んだことにも原因はあるんですけどね…)

キャンディマン伝説の発祥の地、カブリーニグリーンへ一人で訪れたときには、キャンディマンの振りをした地元のギャングにかぎ爪で襲われ、目を負傷。

キャンディマンに眠らされ、起きてみるとアンソニーの誘拐現場に血まみれで倒れており、アンソニーの母親のアン=マリーに犯人と勘違いされ襲われる。
そして、それに対して抵抗していたところに警察が突入、犯人と勘違いされ逮捕。

その後、夫のトレヴァーの助けで保釈されるも自宅にキャンディマンが再び出現。
首をナイフで切られたことによる出血で意識が無くなっている内に、キャンディマンに友人を殺害される。
そして、ここでも犯人と勘違いされ、今度は精神病院送りに。

そして、担当の精神科医の先生にキャンディマンの存在を証明するために、彼を召喚したところ、キャンディマンは先生を殺害。
ここで、ヘレンの拘束をキャンディマンが解いた事で彼女は逃げ出すが、先生殺害の罪をここでも被される。

そのまま家に帰ってトレヴァーに助けを求めようと思ったら、なんと彼は教え子と不倫していて、勝手に家をリフォーム。

その後、キャンディマンはカブリーニグリーンでアンソニーを焼き殺して自分の儀式を完成させようとするが、ヘレンはそれを阻止。
炎の中からアンソニーを救い出すが、重度の火傷を負い、そのまま死んでしまう。


いや、可哀想過ぎますね…


どう考えてもオーバーキルです。


ただ彼女の葬式には、彼女がアンソニーを救い出した瞬間を見ていたカブリーニグリーンの住人達が追悼しに来てくれます。
彼女のした善行がしっかりと彼らの記憶に残っていたのには、少しホッとしました。


後は、最後トレヴァーが教え子との生活に嫌気がさし、ヘレンを思い彼女の名前を5回鏡の前で呼んでしまいます。

すると、怒りに燃えたヘレンが登場!

かぎ爪でトレヴァーをズタズタにしますが、これには最高にスッキリしました!


2.キャンディマンのヘレンに対する執着
あと、気になったのはキャンディマンのヘレンに対する異常な執着です。

ヘレンはキャンディマンを呼び出したのに中々殺されませんでした。

これが何故なのか疑問だったんですよね。

色々考える内に2つ思いついた事があったので書いておきます。


1つ目はヘレンの論文を使って都市伝説を拡散させたかったから。

キャンディマンは元は黒人奴隷の画家でした。

しかし、奴隷の身分で裕福な家の白人女性に恋をして相手との間に子供をもうけてしまいます。

その結果、彼女の父の怒りを買い、酷い拷問の末に惨殺されてしまうのです。

彼が現代でも人々を殺し続けるのはこの復讐心の為。

そして、都市伝説として自分の名が後世に語り継がれていくことで、彼は永遠に生きることができます(エルム街の悪夢フレディみたいですよね)。

しかし、ヘレンはこの都市伝説がデマであるという趣旨を踏まえた論文を書こうとしています。

この論文が出版されるとどうなるか…


キャンディマン伝説を本当だと思う人は減りますよね。


そしていつかは忘れ去られてしまう。


そうしたら、彼はもう2度とこの世には戻って来れない訳なんです。

だからヘレンに自分の姿を見せ、伝説が本当であることを認識させようとするのです。

ヘレンに逆に、キャンディマン伝説が本当であることを論文に書かせたら、世界中の人々が彼の名を知ることになるんですからね。


しかし、キャンディマンはヘレンを中々殺しはしないものの、彼女を孤立させようとしますし、最後には殺すつもりでした。


これだと辻褄合わないですよね。


だって論文の影響力を使うならヘレンが真っ当な人間であることが必要なのに、キャンディマンのせいで彼女は気の狂った女という烙印を押されてしまうのですから。

そんな人の論文は誰も読まないですからね。


だから、キャンディマンの執着の理由としては他にあると考えました。



2つ目はヘレンにかつての恋人の面影を感じ一緒になりたかったから。

個人的にはこっちのほうが妥当性があると思ってます。


物語後半で、キャンディマンの住処に辿り着いたヘレンは、キャンディマンについての壁画を目の当たりにします。

ここには、彼が元恋人と子供を作ってしまったことによって白人に迫害される様子が描かれているのですが、

その絵の中にヘレンによく似た人物が描かれていました。


そう、これが彼の恋人だったのです。


つまり、彼がヘレンに執着したのは自分の愛した女性に彼女が似ており、共に永遠の命を手に入れることで一緒になりたいと思っていたからではないか、と考えました。


恐らくキャンディマンの思惑通りに事が進めば、

ヘレンはキャンディマンに乗り移られ、殺人を犯し、最後には幼い子供と共に炎の中で心中する狂った女として、キャンディマンと共に語り継がれていくことになります。


そして、その伝説がある限りキャンディマンはヘレンと一緒に生き続けられる訳ですね。


恐らく彼は、これを求めていたのではないかと思いました。


そう考えると、彼も少し可哀想に見えてきます…

まとめ

いかがだったでしょうか?

本作は都市伝説という身近に存在するテーマを扱って、一人の女性がキャンディマンによって追い詰められていく様子を描いた作品でした。
ただ、意外と話には余白が有り、本作でのキャンディマンの目的などははっきりとは明かされませんので、こういった部分を考察するのも面白いと思います。
主人公がかなり可哀想で辛くなりますが、最後は意外とスカッとするので、是非鑑賞してみてください!

それでは、読んで下さってありがとうございました!